商品のザカート

2220

商品の定義

商品(取引の展示物):

それは、利益を求めて売買するために用意された全ての物です。

Çそのように名付けられたのは、それらの物が留まらずに展示されそれから移動されるからです。それで商人は商品そのものを求めている訳ではなく、その利益のお金を求めているからです。

商品は、お金以外の全ての種類の資源を含みます。例えば、自動車や衣服や布地や鉄や材木など取引のために用意されたものです。

商品のザカートの規定

商品のザカートは、義務です。それは至高なるアッラーの次の言葉によります。{信仰する者よ。あなたがたの働いて得たよいものを惜しまず施せ。} [雌牛章267節]学者の大多数は、この節の意図するところは、商品のザカートについて言っているとしています。また至高なるアッラーの言葉。{かれらの財産から施しを受け取らせるのは、・・} [悔悟章103節] 取引の資金は財産の中の最も明白な財産の一つです。故にそれに対するザカートは、義務になります。.

商品のザカートが義務となる条件

1.その価値が、二サーブに達していること。その二サーブは、金と銀の価値によって計られます。

2.1年経過していること。

3.商売のために準備されたものであること。それはそれによって稼ぐことを意図することです。アッラーとその使徒様は、おっしゃいました。(行いは、その意図によります。)
(合意の伝承)

それでもし意図が取引から使用に変わったら、その1年の期間が中断されたことになります。またその意図が取引に再び戻った時には、1年の期間が新たに始まることになります。しかし、その意図がザカートを免れるための欺瞞であったならその時は、1年の期間の中断にはなりません。

その例として:もし取引の目的で1月に土地を買ったとします。それから8月に自分がそこに住むための建築に目的を変えます。するとその1年の期間は、中断します。それから10月に再び目的を元の取引に変えたとします。その時には、1年の期間は、新たにその10月から始まることになるのです。しかしその行為がザカートを免れるための欺瞞からだとすれば、1年の期間は、中断することはありません。

.

商品のザカートの支払い方法

1年の期間が過ぎた時、商品の値段がその時の市場価格によって定められます。それからザカートがその商品からか或いはその同じ額が貧者の必要に応じて支払われます。

商人は、どのように商品のザカートを計算するか?

1.手元にある商品を時価で評価する。

2.手元にある現金を加える。それは商売で使うものもそうでないものも含めます。

3.支払いが保証されている債権の追加をします。

4.この総額から負債を差し引きます。

5.残りの金額からザカートが支払われます。それは、2.5%です。

義務のザカート=商品の評価額+現金+支払いが保証されている債権-債務×陰暦による1年の期間のザカート率2.5%

-商業のザカートを計算するためには、ザカートが義務となる日の在庫一覧表や査定表によりザカート可能な資産を調べます。それには損益計算書における損益の存在に関わらず、予算決算書を参考にして行われます。

-包装や梱包のための資材は、それを単独で販売する意図で買ったものでなければそれだけの管理となりません。しかし、商品の販売で使用し、特別なバッグのような商品価値を高めるために使用するためである時には、評価されます。ただし普通の包装紙のように価値を高めるものでなければ評価には含まれません。

全ての商人-卸売り業者か小売業者に関わらず-にとっての評価は、通常1年の期間の終わりに買うことができる商品価格(置換価格)になります。それは、販売価格(市場価格)と異なりますし、取得原価あるいは簿価とも異なります。
(参照:現代のザカート問題に関する第7回シンポジューム、ヒジュラ歴1417年・西暦1997年の勧告と決議)

-ザカートが義務となる最終日とそれが支払われる日の間で、価格が変わるならば、考慮された価格は、価格が増大するか、減少したかどうかにかかわらず、それが義務となる日のそれになります。

-輸送中の商品のザカートは、それらを手に入れる前はその元の所有者の責任です。購入された商品の所有権は、その受け取りに従って実現します。それで移動中の状態にある購入された商品は、もしそれが例えば販売者の港での受け取り時を基本にしている時には、その荷物の受け取りによりすぐに所有権が移ります。もしそれが買手の港での受け取り時を基本にしている時には、その荷物が到着港に達した時に、所有権に入ります。

-取引のお金が、異なる通貨や金や銀を含んでいるなら、商人は商品の評価をするために使っている通貨で支払うべき量を知って評価します。それはザカートが義務となる日の優勢な価格によります。

-買い手が代金を先払いし、まだ現物を受け取っていない取引商品についてのザカートは、買い手に支払う義務はありません。それは売り手の義務になります。

製造における原材料と副材料のザカート

1.自動車製造のための鉄や石鹸製造のための油脂のように製品の素材の構成に入れるために意図された(加工前の)原材料は、1年の期間の終わりにそれを買うことができる価格に従ってザカートが義務になります。これは製造のための動物とそれに類するものや穀物や植物にも当てはまります。

2.燃料のように製品の素材の構成に入らない副材料は、固定資産のようにザカートはありません。

3.非製造品と未完成品のザカート:

4.非製造品と未完成品のザカートは、(普通の)取引品と同様1年の期間の終わり時の現価に応じたザカートが義務になります。.

商品と一緒にザカートに対し別の原因が合わさること

商品と共に植物のようなザカートに別の原因が合わさった時は、商品のザカートが支払われます。(カダーヤー・フィクヒーヤ・ムアースィラ/ サラーフ・アッサーウィー博士著。51ページ以降参照。)

ザカートが義務とならない資産の種類

-真珠やサンゴや魚のように海から採れたもの。ただし、それが商品になった時は、除外されます。

-不動産や車などのようなレンタル目的の品物には、ザカートが課されません。ただし、その賃料が二サーブに達して1年の期間が経っていたらザカートが課されます。

-家や自動車のように自分が使用する必需品。

資本金のザカート

商業資産でザカートが課されるのは、利益を目的として売買のために用意されている流動資本です。一方、固定資産については、評価時には計算されません。そこからはザカートは支払われません。例えばラックや商品を保存するための冷蔵庫や輸送するための車両や商品を上げ下ろしするための機材などです。

ニサーブの所有

ニサーブの所有は、1年の期間(ハゥル)の最初から最後までの全てにおいてが条件になるのでしょうか?それともその期間の最初と最後だけそれを満たしていれば十分なのでしょうか?それともその最後だけ考慮すればよいのでしょうか?

重要なのは、ハウル(1年の期間)の最初と最後においてニサーブを達成していることです。それはハウル全てを通して評価することが困難だからです。ですからその最初は、ザカートが義務となる原因が定まった時でその最後は、決められた期間がやって来たと考えられるからです。ムスリムにとって最も容易なのは、特定な期間を限定することです。例えばラマダーン月などでこの期限で財産を評価しザカートを支払います。

株のザカート

株の定義
株:

株式会社の資本金の等しい部分の一つ。

例:資本金3百万ドルの株式会社は、創業時に資本金を10万株に分けたとしますと一株は3百ドルになります。この1つの部分が株となります。株の所有者は、その所有する株の量に応じてその会社の共同事業者となります。

株取引の規定

それはムバーフ(許容行為)です。会社がハラーム(禁止行為)を行っていないかリバー(利子)による取引が派生していなければです。

株のザカート支払い方法

-それについて会社の定款に記載されていたり株主がその支払いを委任した時には、会社が彼らに代わってそれを担います。

-会社がザカートの支払いを担ったとするならそれはOIC(イスラーム諸国会議機構)に属するフィクフ(法学)協議会が決定した法人と結び付けられるザカートは、スンナで記述されている家畜についての共同所有権の原則にしたがって支払われます。そしてそれは一部の法学者が全ての資産について一般化しています。つまり全ての株主のお金は、一人の人物の財産と見做され、ニサーブやザカートの量を考慮してザカートが義務付けられます。

-学者の大勢は、会社のザカートで共同所有権の原則を適用しないとして、むしろ個々の株主それぞれの配当金に目を向けるとしています。

またイスラーム研究学会の第2回会議は、この問題について多数見解を取り共同所有権の原則を取りませんでした。むしろそれぞれの資産を見ることにしました。それについての決定は以下の通りです:

”多くの個人が株を分担する会社においては、これらの規則を適用する時には、会社の利益の総体を考慮するのではなく、それぞれの株主ごとに割り当てられたものを考慮する。”

-このような状況では、会社は資本金からザカートが義務とならない株、例えば慈善のワクフ(寄付)株や慈善団体に割り当てられている株とザカートが義務とならない建物や事務所や家具や業務用車両などザカートの対象でない固定資産は差し引かなければなりません。

もし会社がザカートを支払はない時は、株主が自分自身にそれが課されます。それは次のようなケースです:

1.農業会社の株のザカートは、農作物や果実のザカートと同様に出されます。

2.営利企業の株のザカートは、資本と利益の両方から出されます。その株価の評価はザカートが義務となった時の市場価格によります。

3.製造会社の株のザカートは、純粋な利益から出され、機械や建物などからは出されません。

4.株主が、ハウル(1年の期間)内に自分の株を売った時には、その価格を自分の資金に加えザカートのハウルが来た時に一緒にザカートを出します。またその買い手については、前述のように買った株のザカートを出します。(カダーヤー・フィクヒーヤ・ムアースィラ/ サラーフ・アッサーウィー博士著。54ページ以降参照)